極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
「あの、私……」
車がマンションの広い敷地内から道路を走り出してすぐ、私は思わず運転をする慶太さんの横顔を見つめていた。
私の掛けた声に、「どうした?」と優しい声でこちらをチラリと目にする。
「何か……怖いです」
“何が”という部分をすっ飛ばして出てきた私の言葉に、慶太さんは黙って再びこちらに視線を送る。
赤に変わった信号で車を停めると、改めて私の顔をじっと見つめた。
「怖いって、何が」
言っておいて、自分自身でも“何が”という部分がよくわからなかった。
ただ、次々と起こることに頭がついていかず、混乱していることだけは確かだった。