極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
澄子叔母さんの式場を変わらず残したい。
その想いで、傘下にという話を拒み、それが叶うなら結婚をすると申し出たのは私の方だ。
それなのに、いざ話が進むと怖いだなんて慄いて、自分の決意の弱さには嫌気がさす。
「すみません……今の言葉、忘れてください」
慶太さんの顔も見ず、静かに言葉を落とした私に、不意に運転席から手が伸びてくる。
近付いた手の平は私の前髪の上をそっと撫で、膝の上で組む手に重なった。
「あなたを早く手に入れたくて、混乱させたのは俺だ」
向けた視線の先、慶太さんの優しい横顔が目に映る。
私の視線を受け、慶太さんはフロントガラスに顔を向けたまま口を開いた。