極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~


ハワイで初めて会った時、綺麗な秘書の方だと思った。

スタイルが良く、黒く長い髪がその背丈に絶妙にマッチしている。

今日は毛先をカールして、後ろで一つにまとめ、ブラックのタイトスカートのスーツをまとっている。

ノンフレームの眼鏡の向こうにある瞳はキリッとした一重で、あの日も思ったけれど凛とした仕事のできる女性といった印象だ。

歳は私と同じくらいか、少し上くらいだと見える。


社長室と思われる扉の前に着くと、慶太さんは「下がっていいよ」と神原さんに一言告げる。

神原さんは頭を下げ、「何かありましたらお呼びください」とドアを開いてくれた。

すると慶太さんはいきなり私の腰に手を回し、微笑んで顔を覗き込んでくる。

突然の行動にあからさまに驚くと、ドアに入りかけたところで神原さんが「社長」と落ち着いた声で呼び止めた。


「社内では、あまり羽目を外さないよう、お願いいたします」

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