極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
『余興をされます、新婦様ご友人への準備の声掛け、完了です』
「――了解」
インカムからの連絡を受け、会場を見渡す。
真っ赤なドレスにお色直しをした新婦の周りを、記念撮影に訪れた参列者が取り囲んでいる。
足早に会場脇で待機するホールスタッフの元へと向かい、次に出す料理の準備の確認へと入る。
次に出るのはローストビーフのメインディッシュプレートだ。
ブラックのパンツスーツに身を包み、胸まである髪はきっちりとまとめ上げ、首元にはパールのネックレス。
インカムを装着すると、ピリッと身が引き締まる。
このくせになる緊張感が、私は堪らなく好きだ。
ウエディングプランナーとして働く私――柏のどか(かしわのどか)は、二十一歳になった年からこの仕事について、早くも七年目へと突入する。
高校を卒業してからブライダル系の専門学校へと進み、すぐに『Jo House Wedding』へと入社した。