極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
荷物一つ自分で運べないなんて、ダメダメ!
やってきたエレベーターに乗り込み、以前教えてもらった方法でカードキーを使い三十八階を指定する。
数十秒で到着したフロアを右手に折れ、部屋へと向かっていった。
部屋の前までたどり着くと、確認するようにローマ字で書かれた表札を目に入れる。
【SONOZAKI】というまだ自分の苗字ではない名を見つめながら、手にあるカードキーでドアを解錠した。
「お邪魔しま……じゃなかった。ただい――」
独り言を呟きながらパンプスを脱いでいると、奥からクスッと笑う気配を感じ取る。
顔を上げると、明るいグレーのスーツが目に入った。
上着を脱いだスーツベストに、綺麗なパープルのネクタイを締めた慶太さんは今日も華やか。
思わずぽーっと見惚れてしまう。