極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
「こいつ、昨日は眠れない眠れないって、朝方近くまで起きてたらしいんですよ」
そんな言葉を口にしながらも彼女を見つめる瞳は愛しさに溢れている新郎を目に、私は「あら、そうなんですか!」とクスリと笑った。
新郎の林様は、新婦松田様より七歳年上の三十四歳。
都内で美容院を経営されている、サロンオーナーだ。
ハワイの地に似合う少し焼けた肌と、顎下にあるオシャレ髭。
サイドを刈り上げた短髪は、美容師というのを納得させるセンスが窺える。
プランニングを始める際、私はまずカップルの馴れ初めを詳しく聞かせていただく。
二人がどのようにして出会い、互いに好意を抱き、晴れて思いが通じ合ったのかを。
それを聞かせてもらうことで、二人の過ごしてきた時間や想い、時にはその光景までもを共有できるからだ。
ウエディングプランナーとして新郎新婦に向き合う時、二人のことをよく知り得ることが私は一番大切だと心得ている。