極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
「いえ、衣装関係は全てセットで発送しているはずです。ないなんてはずは……」
広げられた衣装をザッと見渡しても、彼女の言う通りタキシードのジャケットが見当たらない。
急に不安に駆られて、衣装が発送されてきたケースや、出されている衣装の下敷きになっていないかを確認していた。
「どうして……」
二人の今回の衣装は、うちが提携しているウエディング衣装レンタル店から直接日取りに合わせて発送をお願いしていた。
もしかしたら、手違いでタキシードのジャケットだけ同梱されなかったのかもしれない。
「あのっ……」
並ぶ衣装を見つめながら混乱し始める私の背中に、新婦、松田さんの不安そうな声が掛けられる。
ハッと我に帰り背後を振り返った。
そこに見たのは、さっきとは打って変わった真顔の二人の姿だった。
目が合うと、松田さんは不安な面持ちで私へと歩み寄る。