極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~


「何か、手違いで……ということでしょうか?」


挙式を目前に控え、あるはずの衣装がないという事態に、本人たちが一番動揺するのは決まっている。

今日という日のために、今まで入念に準備をしてきたのだ。

狼狽し始める松田さんと、立ち尽くす林さんを目に、腕に抱えるファイルをおもむろに開く。

二人の挙式のために自ら作成した資料に目を落とし、レンタルした衣装についての項を凝視した。

ショップが何かの手違いでジャケットを入れそびれたとしたなら、この後始まる挙式には当たり前だけど手配は間に合わない。

タキシードのタイプとカラーの詳細を確認して、私は努めて冷静に口を開いた。


「大変申し訳ありません。こちらの手違いでご心配をお掛けして……ですが、お任せください。挙式までに手配いたします」


二人の不安を払拭するように、力強く言い放つ。

それでもオロオロとする二人に、急遽変更になる挙式までの準備について冷静な口調で説明し始めた。

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