極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
ワイキキビーチが広がる海岸通りを、アクセルを踏み込み走り抜ける。
現地スタッフからウエディング衣装を取り扱うショップを教えてもらい、私は一人その店舗へと車を走らせていた。
式場で衣装を調達するのが一番手っ取り早かったけど、林さんのサイズで同じようなものが手に入らなかったのだ。
海外挙式に出張で訪れて、このようなアクシデントは今まで起こったことがない。
二人の前では冷静を保つ努力をしたけど、正直かなり動揺した。
まさか式を目前にして、必要な衣装がないなんて、シャレにならないトラブルだ。
乗り込む車へと向かいながら、お願いした日本のレンタルショップへと問い合わせの連絡を入れた。
担当者がちょうど不在だったため、事のあらましを話すと、店舗責任者の女性は平謝り状態だった。
その場で責任を追求したところで現状は解決するわけでもなく、事情を話しただけで通話は終わらせた。
起こってしまった事態を騒ぐよりも、今は最善を尽くすために走ることが最優先だった。