極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
特別になっていた彼の存在
熱海への婚前旅行後、一週間――。
私は澄子叔母さんとタクシーに乗り、約束の場所へと向かっていた。
今日は落ち着いたネイビーのプリーツスカートスーツを着た澄子叔母さんと、クリーム色のワンピーススーツを着た私。
後部座席に並んで座る私たちに会話はない。
確かなことは、お互いに緊張し、それぞれ色々な心配事で頭がいっぱいになっているということだろう。
向かう先は、白金にある老舗料亭。
今日はそこで、正式に両家の顔合わせが行われる。
前に一度、慶太さんの会社のエントランスで偶然顔を合わせたお義母様。
あの時はお義母様ということも知らず、挨拶もちゃんとできなかった。
お義母様の方も、私の存在は空気のような扱いで、ほとんど見向きもしてもらえなかった。
あの時の印象が強く残っていて、今日改めて会うのは少し緊張してしまう。