極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
嵐のように去っていったお義母様に、部屋に残された私と澄子叔母さんは二人して深く息を吐き出していた。
溜め込んでいた緊張を一気に口から排出したような感じだ。
二人きりになると澄子叔母さんは足を崩し、「疲れた……」と本音を漏らした。
「のどかの言ってた通りだったわ……」
その感想はたぶん、お義母様が近寄りがたいオーラを発している人だという、私の事前情報を得て、自ら体験してのものだろう。
「……ねぇ、のどか」
「ん?」
「この縁談……断ってもいいのよ?」
急に神妙な口調で何を言い出したかと思えば、澄子叔母さんは冗談抜きの真面目な面持ちで私を見つめている。
「何? 急に……」
「結婚って、二人だけの問題じゃないから……あなたが、苦労すると思って」