極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
「のどかの手料理を食べられる日がくるなんて、感激だな」
カウンターに並べていく料理やお皿を、慶太さんは進んでダイニングテーブルへと運んでくれる。
チラリとカウンター越しに目を向けると、スーツのジャケットを脱いだベスト姿の慶太さんは、シャツの袖口を捲り上げてお手伝いモードになっていた。
なんだか結婚生活がもう始まっているような錯覚に陥って、手を止めぼんやりとしてしまう。
慶太さんと結婚をしてここに住むようになったら、こんな光景が毎日見られるのかな……?
「感激だなんて、大げさです。一緒に生活するようになったら、毎日になるんですよ?」
ボソッと「飽きちゃうかもしれません」とこぼすと、キッチンに入ってきた慶太さんに横から顔を覗き込まれた。
「俺が、のどかが作ってくれたご飯に飽きると思う?」
「え……それは――」
不意打ち気味に触れるだけのキスで言葉を奪い、慶太さんは「有り得ないね、断言できる」とにこりと微笑む。
出しておいた取り皿を手にキッチンを出ていきながら「例えば……」と振り返った。