極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
あのお義母様は、あまりキッチンには立たない人だったのだろうか。
もしくは、慶太さんが避けていたのかもしれないし、食事を作る家政婦のような人が家にいたのかもしれない。
理由はわからないけれど、家族で食卓を囲むということに恵まれなかったのだろう。
そういえば……慶太さんの産みのお母様は、いつから慶太さんと暮らしていないのだろう?
お父様とは離婚されたのか、病気か何かで死別されたのか、まだ聞いていなかった。
「これからこうやって、のどかの作ってくれた食事を一緒に食べれるのは最高に幸せだな」
聞いてみようと思ったけれど、場の空気を壊してしまいそうで、頭によぎった疑問をひとまず封じ込める。
「美味しいご飯を、ご馳走さまでした」と箸を置いた慶太さんに、またの機会にしようと言葉を呑み込み「お粗末さまでした」と笑顔を返した。
「あの、慶太さん……」
「……ん?」
「お義母様は……私との結婚を、納得してくださったのでしょうか?」