極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
あの後、怜さんが根気強く何度も美陽さんのお父様に会いに出向いてくれたという。
こっちのわがままな言い分かもしれない。
でも、どうしても式に出席してもらいたい。
自分たちの最後のわがままだと思って、どうか出てもらいたい。
そう、何度も頭を下げに行ったそうだ。
「良かった……これで、予定通り進められるね」
「うん。早速、役者さんの手配に移れるなって」
弾んだ声を出す桃ちゃんのデスクには、メモリプレイをするために進めてきた様々な資料が付箋を付けられて積まれている。
開かれたパソコンの端にも、そのために連絡する先へのメモが貼られていた。
「そうだね。じゃあ、進展があったらまた教えてください。サポートできるところは手伝います」
「はい、了解です! あっ、それで……」
周囲を気にしたように、桃ちゃんが顔を寄せてくる。
耳を貸すと、「社長に、なんだけど……」と小声で切り出した。