極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
「お父様から出席の返事がもらえたってこと、のどちゃんから伝えてもらえないかな? この案件、のどちゃんに手助けしてもらってるの、知っているし……」
「えっ、それなら、桃ちゃんが――」
「さっき、本社に連絡してみたんだけど、捕まらなくて。ね? これから会うんじゃないの?」
ニッと笑って「だからお願い」と言われてしまい、仕方なく「わかったよ」と頷く。
谷口様の打ち合わせのあと、約束はしていないけど本社に会いに行ってみようと思っていた。
慶太さんも、友人だという谷口様の案件が落ち着いたと知れば、ホッとするに違いない。
「でも、本当に良かったね……」
「のどちゃんのお陰だよ。私一人じゃ、きっと無理だった。お二人の心を動かすことができなかったよ」
「そんなことないよ、私は何も。桃ちゃんの熱意が伝わった結果だよ」
私が知らない時間にも、きっと谷口様と密に連絡を取って、二人をサポートしてきたのだろう。
そのお客様を想う気持ちと、地道な努力があっての結果だ。
「とにかくホッとしちゃって……脱力感」
「まだ脱力するのは早いよ! ここからがプランナーの腕の見せ所なんだから、頑張って桃ちゃん」
嬉しそうににっこりと微笑み頷く桃ちゃんを目に、私自身も安堵の脱力感に襲われていた。