極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
それにしても、話とはなんだろう?
考えてみれば、わざわざどこかに連れ出されてまでする話なんて、よくわからない。
エレベーター内でサクッと話せる話ではないということ……?
七階で停まったエレベーターの先には、八階と似たようなフロアが広がっていた。
会議室や応接室が並ぶ奥、悠太さんが足を止める。
その部屋が悠太さんの専務室のようだ。
ドアを開き「どうぞ」と中へ招き入れられ、そろそろとお邪魔する。
電気のついたままの部屋の中には、秘書や誰か人の姿はなく、しんと静まり返っていた。
「あの……お話、とは」
「まぁ、そう焦らずに。お茶でもどうですか?」
「いえ、長居するつもりはないので、こちらで結構です」
丁重にお断りすると、扉を静かに閉めた悠太さんは「そうですか」と仄かに笑みを浮かべた。
「不思議に思いませんか……突然決まった、兄との結婚」