極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
「えっ……! あっ、あ、すっ、すみません!」
マネキンが何故ひとりでに動くの?!
そう思ってビックリして仰ぎ見たものは、更に驚愕で私を真っ青にさせていた。
そこにあったのは彫刻のマネキンの白い顔ではなく、正真正銘の男性の顔。
咄嗟に飛び跳ねるように距離を置いた私を、鋭い切れ長の目がじっと見下ろしている。
その真っ直ぐな視線に意識とは別にドクっと心臓が強い音を立てた。
私と同じ、アジア人だった。
艶のある漆黒の髪はきっちりとトップとサイドがセットされ、マネキンと間違ってしまうほどの高身長。
高く綺麗な鼻梁に、結ばれた唇は薄く、シャープな顎のラインに釘付けになっていた。
すごく、整った顔の人……。