極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
このまま知らないままでも、いいことかもしれない。
だけど、ずっとその疑問をつかえたまま、この先生きていくのは気持ち悪い。
知らないままでいる勇気と、真実を知る勇気。
今、私に必要な勇気は、どちらなのだろう。
二つの気持ちが交錯する。
天秤にかけられ、ゆらゆらとどちらかに傾くのか、見守っているような気分になっていた。
「わざわざ、会いにきてくれたの?」
「えっ、あ、はい」
さっきまでの氷点下の表情とは打って変わり、いつもの舞い降りたような柔らかい笑みを浮かべる慶太さん。
「嬉しい」と囁くように言い、腕の中の私を抱き直す。
変わらぬ優しさに安堵すると、黙って温かなぬくもりに身を任せていた。