極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
ドクっと、心臓が嫌な音を立てて震え上がる。
始まろうとしている話に、小さく深く息を吸い込んだ。
「のどかに初めて会ったのは、俺が高三の時。のどかが多分、中学生になったばかりの頃だと思う。父に付いて、城社長に会いに出向いた時、のどかを見かけた」
予想も、想像もしなかった話に、慶太さんの綺麗な横顔から目を離せなくなる。
慶太さんは何かを思い出すように天井を仰ぎ、口元に薄っすら笑みを載せた。
「バンケットルームで、頼まれたのか一人テーブルのフラワーアレンジメントの手伝いをしていたのをよく覚えてる」
小学校高学年あたりから、澄子叔母さんに頼んで進んで現場でのお手伝いをさせてもらっていた。
当時、子どもの私が手伝えるのはもっぱら裏方の仕事で、運んだり並べたり、ミスを起こさない簡単なものばかり。
それでも手伝えることが本当に嬉しくて、学校以外は遊ぶことよりもお手伝いに自分の時間を費やした。
「だから、澄子叔母さんとは昔から顔見知りだった……でも、どうして」
「事故で亡くなったのどかのご両親……その相手は、うちの両親なんだ」