極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~


「え……」


何を言われているのか、よくわからなかった。

私のお父さんとお母さんは、二人で出かけた熱海旅行の帰り道で事故に遭った。

対向車との衝突事故だったと聞いている。

でも、まさか……。


「その時の事故で、俺も実の母を亡くしている」

「そん、な……」


いつか、慶太さんの実のお母様について、聞いてみようと思っていた。

それが、こんな形で知ることになるなんて……。


「父の起こした事故で、突然のどかから両親を奪ってしまった……だから父は、できる限りのどかの支援をしたいと、城社長に申し出た。寂しい思いをさせてしまうから、せめても、不自由な生活をしないようにと」


澄子叔母さんから、当時の事故の詳細を聞いたことは今までなかった。

相手がどんな方だったのか、生死についても聞かされてはいない。

事故当時、私は物心ついて間もなかったし、両親が亡くなるということすらよくわからない年頃だったからだ。

< 305 / 358 >

この作品をシェア

pagetop