極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
心配していた美陽さんのお父様も約束通り参列してくれた。
結婚式に出ないなんて言い出した美陽さんのお父様は、どんな方なんだろうとお会いするのを楽しみにしていた。
絵に描いたような豪快な頑固親父なのかと想像していたけれど、寡黙な、静かで穏やかそうなお父様だった。
美陽さんと歩くバージンロードの説明をさせていただいた際も、ただ黙って話を聞いていた。
「お疲れ様」
メインテーブルに二人がたどり着き、プロフィール紹介が始まった時だった。
いつの間にか隣に慶太さんが立っていて、驚いて一歩後退してしまった。
「お、お疲れ様です……」
見上げた慶太さんは今日はブラックのスーツに身を包み、華やかながらも裏方に徹した雰囲気だ。
谷口様の挙式には必ず顔を出すと言っていた慶太さんは、昨日の晩にシンガポールから戻られていた。