極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~


何かを思い返すようなお義母様の言葉は、ずっしりと重く深く私の心に響いていた。

慶太さんの産みのお母様が亡くなられて、その後お父様と再婚されたお義母様。

私以上に、園咲の家に入ることに苦労があったはずだ。


「――はい、どうしたの?……えっ、ちょっと、どういうことなのよ」


お義母様のスマホが鳴り始め、それに応対しだした声が次第に動揺に震えていく。


「悠太、ちょっと待ちなさい! 文香さんと一緒だというの? ちゃんとわかるように説明をして」


悠太、さん……?

文香さんって、確かあの時紹介された、クレア・ルミナスのご令嬢の……。


一方的に通話を終わらされた様子のお義母様は、腰が抜けたようにへなへなとその場に崩れ落ちていってしまう。

私は咄嗟に駆け出し、お義母様の腕を掴んでいた。


「大丈夫ですか?!」

「……慶太さんのこともだけど、悠太のことすらわかっていなかったみたいね……母親失格だわ」

< 340 / 358 >

この作品をシェア

pagetop