極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
その先に視線を向けて、釘付けになり、微動だに動けなくなる。
どうして、この人がここに、うちの式場にいるのか頭の整理がつかない。
スタッフが広く開けた扉の前、丁寧に頭を下げ、こちらに向かって歩んでくる長身のスーツ姿。
礼儀正しく紳士的な態度と裏腹に、こちらを見据える目は感情が読み取れない。
その傍らにはあの時に一緒にいた女性も控えていて、ただならぬ空気を感じ取っていた。
でも、さっき澄子叔母さんがこちらに通してと言ったのは、この方々なわけだ。
偶然にも、澄子叔母さんの知り合いなのだろうか……?
「園咲(そのざき)さん……」
隣に立つ澄子叔母さんから、彼のものと思われる名前が呟かれた。