極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~


その先に視線を向けて、釘付けになり、微動だに動けなくなる。

どうして、この人がここに、うちの式場にいるのか頭の整理がつかない。

スタッフが広く開けた扉の前、丁寧に頭を下げ、こちらに向かって歩んでくる長身のスーツ姿。

礼儀正しく紳士的な態度と裏腹に、こちらを見据える目は感情が読み取れない。

その傍らにはあの時に一緒にいた女性も控えていて、ただならぬ空気を感じ取っていた。

でも、さっき澄子叔母さんがこちらに通してと言ったのは、この方々なわけだ。

偶然にも、澄子叔母さんの知り合いなのだろうか……?


「園咲(そのざき)さん……」


隣に立つ澄子叔母さんから、彼のものと思われる名前が呟かれた。
< 41 / 358 >

この作品をシェア

pagetop