極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~


「そんな……私と会ったこともないのに、そんなことを申し出てくるなんて、意味がわからない」

「あちらは、うちのことはよく調べていたのよ。のどかのブログも見ていたみたい」

「え……」

「うちのウエディングのやり方を、自分のところでも取り入れたいって」

「それじゃあ、俗に言う政略結婚ってやつじゃない!」


私と結婚をして、自社にうちの事業を取り入れたいなんて、会社の拡大のために好きでもない人と一緒になるということ。

大会社の社長みたいな人は、きっと野心家なんだと思う。

だけど、結婚という人生の大切な選択まで、会社のために利用するなんて、私にとっては考えられない。


「私は、のどかの母親代わりであって、あなたのことは本当の娘と思ってるの。だから、のどかに結婚の意思がないのもよく知ってる。だから、お断りしてきたの」

「澄子叔母さん……」


物心ついた頃から、澄子叔母さんはいつもそうだった。

両親をいっぺんに亡くした私を、いつも何よりも大切にしてくれていた。

そして、どんな時も私の意思を尊重してきてくれた。

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