極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~


「そんな……!」


昼間、澄子叔母さんは園咲さんに廃業も視野に入れているなんて言っていた。

澄子叔母さんの中でその意思はすでに固まっていたのかもしれない。

だけど、そんなのあんまりだ。

どうして澄子叔母さんがそんな選択を迫られなくてはならないのか。

そんなの、黙っていられない。


「ダメだよ! ここを閉めるなんて、私は絶対に反対だよ! そんなこと、ダメに決まってる」

「のどか……」

「だって、ここには、澄子叔母さんが築いてきた大事なものがたくさんあるでしょ?! これからだって、私はここでたくさんの人に笑ってほしい」


一人で式場を切り盛りして、苦境だってたくさんあったと思う。

だけど、私は澄子叔母さんの側で見てきて知っている。

ここが澄子叔母さんの生きがいで、全てだということを。

『ここを作って、本当に良かったわ』

そう言って幸せそうな笑顔を浮かべるのを、何度だって目の当たりにしてきた。


だからこそ、ここを手放すことなんて考えてほしくない。

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