極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
「私が……あの人と婚約して結婚すれば、ここは今まで通り傘下にも入らず、そっとしておいてもらえるの?」
「のどか――」
私の言葉に、澄子叔母さんは酷く驚いたような表情を浮かべた。
慌てたように置いた箸が、その勢いでテーブルの下へと落ちていく。
「何言ってるのよ、そんなこと考えなくたって――」
「私、澄子叔母さんにここまで育ててもらって、まだ少しも孝行できたと思ってないの。だから、澄子叔母さんの大切な場所を守れるなら、考える」
「のどか……」
「それに、どう考えたって、やっぱりここが無くなるより悲しいことなんて私にはないから」
この件を丸く収めるためには、私が何とかするしかない。
澄子叔母さんの、もちろん私にも、大切なこの場所を守るため。
私は決意にも似た気持ちで澄子叔母さんに力強く頷いてみせた。