極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
「そんなお硬くならないでください。普段通りのあなたを見せてほしい」
そんな風に言われただけで、不覚にもドキンと鼓動が音を立てる。
目の前にある洗練された存在と、優しげな声に、胸が無意識のうちに反応していた。
「いえ。今日は、大切なお話をさせていただきに伺いましたので……」
それでも頑なに真面目な表情を崩さぬ努力をして、目の前に立った園咲さんを見上げる。
彼は改めて笑みを作り直すと、「どうぞ」と下りてきたレッドカーペットの階段を後に、私をチャペルの脇道へと先導していった。
春の優しい風に、木々の小さな葉がさわさわと揺れる石畳道を進んでいくと、さっき外から望めたガーデンが広がる。
緑と大きなラグーンを正面に構える建物は、光を取り込める開放的な作りのバンケットルーム。
白を基調とした建物は、優雅な海外の邸宅のようだ。