極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~


「ありがとうございます」


車内への乗り込み、運転席の男性にも「よろしくお願いします」と挨拶すると、園咲さんは運転手の方を『松崎さん』だと紹介してくれた。


「やはり、あなたはきちんとされた方ですね」

「え……?」

「丁寧に運転手に挨拶をする方なんていないので。ですよね、松崎さん」


園咲さんが声を掛けると、松崎さんは「ええ」と頷く。


「いえ、そんな。当たり前のことをしただけですので……」


会って早々そんなことで褒められてしまって、緊張に拍車がかかる。

膝の上のバッグに目を落としたり、窓の外を眺めることで落ち着きを取り戻しやり過ごす。

三十分もしないうちに到着したのは、都内の有名な大学病院だった。

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