極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
広い敷地内へと入っていった車は、病院入り口前のロータリーで停車する。
今度は素早く松崎さんが車を降りると、後部座席のドアをあけてくれた。
「あの……ここは」
病院入り口を入っていく園咲さんの背中に声を掛ける。
園咲さんはこちらへと振り向き、自分の隣へと並ばせるように私の背に手を添える。
「会わせたい人がいます」
「会わせたい人、ですか……」
一体誰なんだろうと思いながら、促されるまま一階からエレベーターへと乗り込む。
五階で開いた扉を出ると、そこは真っ直ぐの廊下が続く入院病棟だった。
出た廊下を左に折れ、真っ直ぐ進んでいく。
その途中、右に曲がる通路へと出ると、ガラス張りの渡り廊下へと入る。
その先の別館はさっきまでの病棟とは雰囲気が違い、床はベージュ色の絨毯へと変わり、壁際のところどころには観葉植物の木なども置かれていた。
並ぶ扉もこげ茶色の重厚な木製扉だ。