極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~


突き当たり手前のドア前で、やっと園咲さんは足を止める。

ドアをノックすると、「失礼します」と言って開いた扉の中へと私を促した。

中はブラウン調の絨毯が続き、病室とは思えない雰囲気が広がる。

部屋に入ってから、そこが特別室であることを確認した。

入り口すぐには同じ木製の扉が二つ並び、その奥がひらけた部屋となっている。

部屋の明るさが入り口へも射し込んでいた。

ドアを閉めた園咲さんのあとに続くと、奥の広い病室には中央奥に大きなベッドが一台置かれていた。

よくある病院のリクライニングベッドではなく、ダークブラウンの木枠の立派なものだ。

掛けられた布団も花柄の上品なもので、そこに座るような体勢で横になっているこの病室の主人は、窓の外をじっと見つめていた。

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