極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
私に目を向けたお父様は、じっと私を見つめると、再びにっこりと笑みを浮かべる。
そして、「ようこそ、よく来てくださいました」と歓迎の言葉を口にしてくれた。
「こんな姿でお会いすることになり、申し訳ないね」
「いえ……」
「城社長は、お元気ですか」
「あ、はい。おかげさまで、変わらず……」
「そうですか、それはよかった」
澄子叔母さんと面識があるらしいお父様は、私の返事に微笑み頷く。
大企業の社長をしていた大物は、もっとお堅く、近寄りがたいものだとばかり思っていた。
だけど、園咲さんのお父様は極めて温厚で、厳しい表情一つ見せない。
病床に伏せ、そうなってしまったのかもしれないとも思った。
「今日は、ご報告に伺いました。彼女と、結婚することになりました」
しんと静かな病室で園咲さんが口にした言葉に、目が醒めるような感覚を覚える。
今日ここに私を連れて来たのは、その報告をするためだったのかと今になって状況を把握していた。