僕は桜に恋をした。
「ついたよ。」




「奏太君の用事ってお墓のこと?」





「うん。今日、命日なんだ。」




「誰の命日か聞いてもいい?」





「僕の兄ちゃん。」





「お兄さん?」





「女の子を助けようとして自分が車にひかれた。」





「そうなんだ。どんなお兄さんだったの?」





「優しかったよ。その時僕が6歳の時で兄ちゃんは今の僕と同じ18歳で結構歳が離れたんだけどよく遊んでくれたんだ。」





「いいお兄さんだね。」





「あの日もね。いつも通り『行ってきます』って笑顔出てったんだよ。」







そう。




いつも通りに。





もう会えないなんて全然思わなかった。







言いたいことたくさんあったのに。






あ、






あった。





僕のやりたい事。








兄ちゃんに会いたい。






一度だけでいいから。




その時に言いたい事全部言うから。







『ありがとう』






『大好きだよ』






あと、これも言わないとな。






『初めて好きな人ができたんだ。





初めて恋したんだ。





桜みたいに綺麗な女の子に。』










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