僕は桜に恋をした。
帰り道、行きとおんなじ道を歩いているとは思えないくらい静かだった。





「お兄さんは奏太君に似てる?」




宮川はいつも通りに笑顔で話しかけて来た。




僕は財布から一枚の写真を出した。




「これ、兄ちゃん。いつも持ち歩いてるんだ。」




「うん。やっぱり似て…」




そう言いかけて宮川の顔から笑顔が消えた。



少し経って頭を痛そうに押さえた。



「宮川?大丈夫?」




「…うん。平気…。」




そう言っていたがその時の笑顔はいつもの笑顔ではなく、何かを隠したようなそんな笑顔だった。
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