僕は桜に恋をした。
「んー…」





『どうしたんだ?』




同僚が心配して話しかけて来た。




相当深刻な顔をしていたんだろう。




『…いや、なんでも。』




好きな人をどうやって誘うか考えてる。




なんて言えない…。




前まではこんな悩むこともなかったのに。




「今度どっか行きませんか?」




なんか違う。




「今度どっか行かね?」




ちょっとガキっぽいかな。





「予定空いてますか?」





15分考えて考え抜いた結果がこれ。





「よしっ!」




僕は一回深呼吸をして送信ボタンを押した。





「ふぅー…。」




1文送信するだけでこんなに疲れるなんて。





ピコンッ!


「うわっ!びっくりした…。」





『いいよ!どこ行く?』





僕は小さくガッツポーズをした。





「ご飯とかどうですか?」





『なら明日の夜空いてる?』




「うん。」




『じゃあ決定!場所は決めておいて。病院の桜並木で待ってるから。』





「わかった。」




食事を誘うだけなのに。




恋しただけでこんなに変わるんだ。









「明日何着てこう…」





< 50 / 66 >

この作品をシェア

pagetop