僕は桜に恋をした。
あ…




頭が真っ白になるってこうゆうことなんだ…。




「ど、どうゆうこと…?」





「あなたのお兄さん女の子を助けようとしたって言ってたよね?」




その声は、ふるえている。





「その女の子、私なの…。」




僕は彼女の言っている意味が分からなかった。





いや、分かりたくなかった。





「あの日、お兄さんの写真を見た時、思い出したの…。」





彼女の手が震えていた。





「…冗談、なんだろ?」





「ごめん…。」





信じたくなかった。





「私が道路に出たから…、私が行かなかったら…、ちゃんと信号を見てれば…。」





なんで…。





「お兄さんのこと、本当にごめんなさい…。」



なんでだよ…。





「ずっと、忘れててごめんなさい…。」





ずっと、黙ってればよかったじゃん…。






「奏太君はずっと苦しんでいたのに、私だけずっとのうのうと生きていて、ごめんなさい。」







「なあ…嘘なんだろ…?」








「…本当に、ごめんなさい…。」






「言えよ!嘘だって!」






嘘でもいいから…。






言ってよ…。






嘘だって…。







「ごめん…。」











なんで、そんなに正直なんだよ…。










そんなん、憎むにも憎めないじゃん…。






怒れないじゃん…。










もっと、好きになっちゃうじゃん…。



















なんでそんなに素直なんだよ…。













< 56 / 66 >

この作品をシェア

pagetop