僕は桜に恋をした。
夏美さんは悩むこともなく、すぐに答えた。





「あなたのことも憎むと思う。」




思っていたことと全く同じことを言われてしまった。




後悔した。




やっぱり聞くんじゃなかったって。







「…って言ったらあなたの想いは変わるの?」







夏美さんは少したってからそう言った。







僕の…想い…。





この恋は諦めよう。




だって僕のことあんなに大切にしてくれたんだから。





だって兄ちゃんにできることなんてこれくらいしかない。









そう思うと思ってた。






でも




本当にそう言われた時、




全く違うことを思った。






「…変わりません。





僕の想いは絶対変わらないと思います。」




だんだんと夏美さんの顔がぼやけてきた。




涙が溢れてきたのだ。




僕はその涙を拭うこともなく、下を向くこともなく、話し続けた。




「ずっと…。




憎かった…。




憎かったのに…。





どうしても嫌いになれないんです…。






自分が思っている以上に…、




好きなんです…。









愛してるんです…。












初めてできた




これからもできるはずのないと思ってた、





兄ちゃんより大切な人なんです…。」










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