これを恋と告うのなら。
「ぁっ、これ言ったっけ?」





「なにかね」







「謙成先輩!いい匂いするんやで」









その言葉を耳にしたのは確か2度目だと思う。


前も匂いフェチの話になって、未佳から教えられた名前。








「それ前も言ってたよね、誰?」







「サッカー部の先輩!背が高くてー」








未佳は放送部が活動しないのをいいことに、サッカー部のマネージャーを掛け持ちしている。


だからいい匂いとか分かったんだ。











「えー・・・見たことない」









「見に行ってみる??」










「いやいいです。てか何でニヤついてんの」











「やー瑠羽と男の話するのも久々やなぁって」












「別にそういう関係にはならないからね?!その顔でこっち見るな!」









ニヤついた未佳の顔は、まだ戻りそうにない。











「でもちょうど良かった!」








「ん?」












「部活動紹介の動画!サッカー部撮りいくとき見れるんとちゃう?!」










「あ・・・」











新入生に向けて学校の部活を紹介する動画、それを毎年つくるのは放送部らしい。



暇部だから任せられてるのかな・・・?













「そのときどの人か教えるから、ちゃんと見ててや!」








「おけ、見とく!」













ただの好奇心。



いい匂いなのも好きだし、サッカーも好き。



当てはまる条件が備わった先輩を、一目見てみたくなった。
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