イチゴ恋
祐介くんは優しい。
きっと私の気持ちなんて丸読みだ。
「そうだ、私が祐介くんち行くよ。その方が勉強できるでしょ?」
「俺の勉強のこととか考えなくていいよ」
「はいはい、じゃあ作ったら行くね。…あ、袋持ってくれてありがとう、じゃ!」
祐介くんは分からない。
だから、その薄い壁みたいなのを私が壊していきたい。
祐介くんからは、きっと壊さないから。
「ユウ」
「ん?」
お互い鍵を回しながら話す。
「俺のこと、分からない?」
「…えぇ?」
「なら、それがいい」
それだけ言い残して、ガチャンと家の中へ入っていった。