《短編》*さよなら、また明日*
高校からコンビニに寄り、一人暮らしをするマンションへと帰る。
それから、夕飯の支度をする。
バイトの日は、コンビニに寄ってからバイト先に向かう。
そして、やっぱり一人暮らしをするマンションへと帰る。
当たり前なのは、わかってる。
僕は、里親の元から離れてひとりで暮らすことにした、だから家に帰ってもただ寂しくひとり。
今までは、寂しいなんて思わなかった。だって、ずっとひとりだったから。
でも、知ったんだ。
人といて、こんなにも安心すること。
人がいて、話を共有できること。
人と食べて、こんなにも食事が美味しいと思うこと。
人が隣にいて、こんなにもあたたかくなるということ。
こんなにも、ひとりは孤独なんだっていうこと。
それはやっぱり、いま家にいるヤツのおかげなのかもしれない。
実体してるのかも、不明なヤツだけど、これだけはわかる。
ヤツは、茅野 梨奈といって無邪気に笑う不思議な女の子だということ。
だからこそ、僕は彼女を家に置いたということ。
幽霊な彼女は、いま僕といまというこの時間を共にしている。