《短編》*さよなら、また明日*
カバンをテーブルの上に置く。
こんなの、両親に見られたら殴られるだけじゃ済まされない。
でも、最後の反抗。そう思えば、こわくなんかない。
手紙とペンを出し、紙に丁寧に文字を書いて行く。
書き終わると、そのまま立ち上がりキッチンに向かった。
キッチンは、あんまり使用しない。
でも、包丁はあった。
カチャ…
包丁を手にして、思う。
『あたし、バカだなあ』
こんなこと、間違ってる。
でもね、あたし耐えられないよ。
あたしは、あんな人間のオモチャのままで終わるなんてやだよ。
もっと、たくさんの世界を見たかった。
もっと、幸せになりたかった。
もっと、愛されたかった。
愛を求めて、裏切られるのはもう、懲り懲りだよ… 。