《短編》*さよなら、また明日*


ーーーーー……



さけんだからか、喉を痛めていた。


でも、過去を振り返ってると心が痛んできた。


あたし…自分で死んだ。


自分で自分というひとを殺した。


制服の袖をめくる。

すると、両親から受けてきた今までの傷が痛々しくのこっていた。



『……あたし……』



ため息を吐く。そのため息は、白くなることはなく、ただ消えていく。


それだけで、現実を叩きつけられた。



あたしの周りのひとは、誰もいないかのようにあたしの体をすり抜けていく。


何か感じるわけではないが、感じる違和感。


そして、感じる胸の痛み。



涙はもう、かわいていた。


いや、出なかった。


あまりに苦しくて、泣きたくて…


でも、もう泣けない。


あたしは、罪を犯したのだから。





ねえ、真琴くん。あたしね、真琴くんと暮らしていてわかったことがあるの。


人間は、ひとりじゃ生きていけない。


あたしは、いつもひとりだったからひとりで虚しく死んでいった。


そんな人生、真琴くんには見せたくない。

真琴くんは、今まで辛い経験がいっぱいあったはず。

だからこそ、真琴くんには幸せになってもらいたい。


< 19 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop