《短編》*さよなら、また明日*
『さて、帰るよ。家に』
彼女の背中を優しく叩く。
「家…?で、でも…あたし」
『僕の前から消えないで。ね?』
「ーえっ?」
『わかるよ。キミのやる事なんか』
そう言うと、キミは嬉しそうに笑った。
僕の大好きな、あの無邪気な笑顔だ。
「えへへっ。真琴くんは、あたしのこと好きだもんねー!」
『好きじゃないよ』
「えーー?!ひどい!……じゃあ、きらい??」
本当に不安そうに俯くから、僕は彼女の頭を撫でた。
優しく…
『きらいではないよ』
「ほんと?!」
『うん、ほんと。』
彼女は、やっぱり明るくて優しい素直な女の子だ。
彼女が、幽霊だとか関係ない。
僕の隣には、彼女がいて。
彼女の隣には、必ず僕がいてあげる。
笑顔だなんて、苦手だけど…キミのためなら……梨奈のためなら、僕はぎこちない笑みでも見せてあげる。
どんな笑みでも、梨奈は嬉しそうにしてくれるはずだから。