《短編》*さよなら、また明日*



お父さん、お母さんへ

そして…真琴くんへ



お父さん、あたし知っているよ。

あたしの御葬式で、自首しようと言い出したこと。


ずっと、負い目を感じてたんだね。


あたし…お父さんに殴られる度にこわくてこわくて仕方なくて…お父さんという人がこわかった。

それから、ちょっと男性不信になったりとかしちゃって…。


でも、お父さんはいま反省してくれているんだね。


あたしは、もう…それで満足してるんだ。


お人好しすぎるかな…?なーんて。


もっと、怒れたらいいのにね。


もっと、お父さんを嫌いになれたらいいのにね。


でも…あたしは、できなかったよ…


……でき、なかった。




お母さん…お母さんがあたしを刃物で傷つけてくるときの顔…あたしね、すごくこわかったんだ…。


すごく、、こわくて…


あたし…毎日毎日、帰ってくるのを恐れて、家で怯えて待っていたの。


お母さんのキレやすいこと、知ってる。

けど、あたしはきらいだった。

すぐキレて迷惑をかけるとき、周りに気を遣われてまでして、その場を乗り切ろうとするから…


すごく…嫌いだったんだ……



でもね、綺麗で家事を完璧にこなすお母さんの姿はあたしの憧れだった。


その姿をずっと、見ていたかったよ。



だから……戻ってよ。


ふたりとも……戻って…?
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