彼女になってもいいですか
だからいつも、

熱心に勉強してる七瀬くんを見てる。

すると、不意に振り返って、後ろの席の男子とニコニコしながら話はじめた。


果たして、こんなにも笑顔が似合う人は、この人以外にいるのだろうか…。


と毎日考える。


朝読書の時間は、先生も眠そうで

クラスの大半の男子はアホっ面をかきながら眠っている。

私も本当は眠いんだろうけど、七瀬くんを見てるとどうも寝る気が起きないのだ。


はぁ、幸せ、、。


今だけは誰にも邪魔されたくないなぁ…。






「佐中~」

思った通りのタイミング。

いつも私の幸せな時間を邪魔するこの人は、担任の吉本秀太(よしもと しゅうた)先生。

25歳の若い先生で、
見た目も意外とイケてる吉本先生は、学校でファンクラブができるほど人気者だ。

私は、そんなに好きじゃないけど。笑


「はーい、なんですかー?」

あくびをしながら面倒くさそうに答える私に、先生はいつも通りの笑顔でこう言った。

「追追試のお知らせでーす。」


なんだこの人は…。

唯一の楽しみである七瀬くんタイムを邪魔して、おまけに追追試のお知らせまでしてくるのか…。


ってか!
そんなニコニコして言うことじゃないでしょ!


「はいはいはいはい。いつものね。」



と、適当な返事をすると、先生はいきなり険しい顔をして私を見た。



「今回は、赤点ナシだからな?」



え、赤点ナシとか考えられないんですけど…。


「赤点ナシは、キツいっす、先生…」

「いや、できる!頑張るんだ、佐中!」

「あ、はい!佐中頑張ります!」

「よっしゃ、いけ!佐中!」


時々、こんな風に私と先生で漫才が始まる。
クラスのみんなは、夫婦漫才みたいだ、って笑うけど、勝手に夫婦にしないでください!
って思う。笑






だって、今私が本当に夫婦になりたい人は一人しかいないんだから。
< 3 / 7 >

この作品をシェア

pagetop