彼女と一秒でも長く一緒にいたいから、僕は全て神様に納めました
「お母さん、どうして起こしてくれないの?」

翌朝、僕が起床したのは、午前九時十二分だった。すでに学校の授業は始まっており、余裕でちこくだ。

うるさく鳴り響いている目覚まし時計を止めて、僕は慌ただしくリビングに飛び込んだ。

どんなに夜遅くに帰って来ても平日の朝はいつも朝食の準備をしてくれている母親だったが、今朝はイスに座ってぐったりしていた。

「お母さん、なんで起こしてくれなかったんだよ!いつも、起こしてくれてたじゃないか?」

僕は、大声で母親に言った。

「願、起きたの?」

振り向いた母親の口から、弱々しい声が返ってきた。

昨日のアルコールが母親の口にまだかすかに残っていたのか、僕の嫌いなお酒の匂いが鼻腔を突いた。

「お母さん、どうしたんだよ?」

僕は、心配そうな表情を浮かべて母親に近づいた。
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