彼女と一秒でも長く一緒にいたいから、僕は全て神様に納めました
「叶えてあげれないこともないけど、そんな願いを叶えても結局辛くなるのを先に伸ばしているだけよ」

「え、どういうこと?」

女神様の言葉を聞いて、僕は早口で聞き返した。

「離婚届が送られてきたということは、お父さんにはもうすでに新しい人生があるのよ。つまり、あなたの家にはもう戻ってくる気はないのよ。一万円を神社に納めて、その日数分だけお父さんに会っても、結局辛い今に戻ってしまうわ」

お金を神社にたくさん納めているからか、女神様は僕の行動を軽く注意した。

確かに女神様の言ったとおり、神社にお金を納めたぶんだけしか父親に会えないのなら、離婚するという結果を知っていたら辛くなる。

「そうかもしれない‥‥‥そうかもしれないけど‥‥‥」

そう言って僕は、拳をぎゅっと握りしめた。握った拳が、ぶるぶると震えている。
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