彼女と一秒でも長く一緒にいたいから、僕は全て神様に納めました
「神社にお金を納めてくれるのはうれしいけど、このままでは破産してしまうよ」

女神様は、心配そうな顔で僕に言った。

女神様に願いを叶えてもらっている代わりに、僕の貯金はどんどん減っていた。数週間前まではお金なんかいらないと思っていた僕だが、今は減り続けるお金に危機感を覚える。

「心配してくれるのはありがたいけど、僕はどうしても家族三人でもう一度暮らしたいんだ」

僕は、はっきりとした口調で言った。

父親が家を出て海外の仕事をしてから、今までお金には困らなかったが、その代わり本来ある家族の形が崩壊した。そして今は、お金すらも徐々になくなっている。

「楽しいぶん、それ以上に辛いことも後から経験することになるよ。それでもいいんだね」

「ああ、いいよ」

そう言って僕は、先ほど銀行から下ろした七万円を女神様に手渡した。七万円を納めたから、これで七日間は父親がいた前の家族の生活ができる。

「明日から七日間だけ、父親がそなたの家にいる」

淡々と説明する女神様の言葉を聞いて、僕は「そうか」と言った。

サイフの中身を確認するとお札は一枚も入っておらず、小銭だけのサイフが重たく感じた。
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