彼女と一秒でも長く一緒にいたいから、僕は全て神様に納めました

「はぁ、なに言ってんだよ？お前、なにもしてないだろ」

尊人は眉を吊り上げて、強い口調で言い返した。

「うるさい！広瀬と今もこうして会えているのは、僕のおかげなんだ。だから、お前が広瀬のことを好きになる資格なんてないんだ」

「お前、つぼみの彼氏でもないのに、なにそんなわけのわからないこと言ってんだよ！」

わけがわからないような顔をして、尊人ははっきりと正論を言った。


「それは‥‥‥‥」

尊人に正論を言われて、僕は口を噤んだ。

尊人の言うとおり、僕とつぼみは付き合ってるわけではない。ただ、僕が一方的に好意を寄せているだけだ。つまり、片想いだ。

「お前こそ、彼氏でもないのに広瀬のことをなれなれしくファーストネームで呼ぶなよ」

「はぁ、別にそれぐらいいいだろ」

「よくねぇよ。最近広瀬と一緒に帰ったりして、二人でコソコソしてうざいんだよ」

そう言って僕は、怪訝そうな表情で尊人をにらんだ。

尊人とは長い付き合いだが、こんな怒った口調で彼に言ったのは初めてだった。