彼女と一秒でも長く一緒にいたいから、僕は全て神様に納めました
「じゃまなんだよ、願は。だからこっそり、つぼみと一緒に帰ってんだよ」

「お前‥‥‥‥」

彼の正直な想いを耳にして、僕は怒りでぶるぶると体が震えた。

僕の大切なお金を神社に納めているからつぼみの転校を引き伸ばすことができているのに、尊人がこっそり僕の好きな彼女とデートをしていたことに猛烈な怒りを感じた。

「お前!」

怒り声を上げて、僕は尊人の頬を力いっぱい拳を握りしめて殴った。

尊人の顔がぐにゃりとゆがみ、近くにあった机に体をぶつけてその場に倒れた。それと同時に机も倒れて、大きな音が教室に響いた。
「いてぇ!」

頬を抑えながら、尊人が苦痛に顔をゆがめている。

今まで尊人とはケンカこそしたことはあったが、こんなに本気で殴ったことは一度もなかった。

「お前ら、なにやってんだよ!」

「願、なにやってんだ?やめろよ!」

「おい誰か、先生呼んでこい」

僕が尊人を殴った姿を他の生徒たちが見ていたのか、教室が一気にさわがしくなった。
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