彼女と一秒でも長く一緒にいたいから、僕は全て神様に納めました
「お前、お前‥‥‥‥」

仰向けに倒れている尊人の体に馬乗りになって、僕は我を失ったかのように一発二発と強めに殴った。

尊人が、僕の知らないところでつぼみと楽しいデートをしていたと思うと、彼に対する憎しみの感情が肥大化する。もしも、尊人がつぼみとそれ以上のことをしていたと思うと‥‥‥‥僕はそれ以上のことは考えたくもなかった。

「いきなりなにすんだ!」

大声を上げて、尊人が足の裏で僕のみぞおちを蹴った。

「かは」

みぞおちに強い痛みを感じて、僕は軽く後ろに吹き飛んだ。

「やめろ、二人とも。なにしてんだ!」

「とにかく、ケンカはやめろ。一旦、落ち着け」

周囲の生徒たちが僕たちのケンカの仲裁に入ってくれていたが、そんな言葉は耳には届いていなかった。
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